[R-naby 2年ぶり新アルバム “Jap squad”] Hip-Hopチャート2位をマークした”逆輸入作品”の真相

NYで活躍する日本人ヒップホップアーティスト・R-NABYのメジャー2枚目となるアルバム「Jap Squad」が、iTunesのHip-Hop/Rapチャートにて2位を獲得。総合ランキングでも55位をマークする快挙となった。1stアルバム「The R-naby Album」以来、2年ぶりの新アルバムがリリースされた今、その経緯を振り返る。

(記事の内容は2/22/2021取材時のものに基づきます)

文/HOTDOG TIMES編集部 草島叶実
写真提供: R-NABY

ーー今回は2年ぶりのアルバムリリースでした。期間を空けたのには何か理由があったのでしょうか?

簡単にいうと、レコード会社やエージェントとの折り合いがつかなかった、って所やな。自分のレーベルから出すか、メジャーのレーベルを頼るか、その悩み期間の2年だった。自分たちのレーベルから出せばもちろんその曲の利益は全部自分たちに入ってくるわけやけど、メジャーのレコード会社から出したほうが、やっぱり第三者から見た時に信頼性があるからな。

ーーつまり、楽曲制作に時間がかかっていたわけではないのですね。

制作は終わってて、曲の準備はできてたね。ただ、本当にエージェントとの折り合いをつけるのが難しかった。ソニーとの契約が解消していないうちは自分たちのレーベルから曲を出すことはできない。だから、一年契約を更新するかどうかでかなり悩んだね。その音楽アーティストにとって、どこから曲を出すかというのはかなり大事やから。

ーーメジャーレーベルの影響力というのは、やはり大きいんでしょうか。

やっぱり、メジャーという看板が無くなるのは怖かったんよ。ネームバリューがないとライブの仕事にも繋がりにくいしな。メジャーレーベルから曲を出すっていうガキの頃からの夢は、ユニバーサルミュージックから1stアルバムを出した時に叶えたわけやけど、もっと言うと、メジャーで曲を出せば成功すると思ってた。そこに来るまで10年以上かかってるしな。でも、実際それは甘い考えやった。メジャーレコード会社がブランディングをしてくれる分、そこには当然お金が発生する。つまり、知名度が上がったりチャートの順位が良くなっても、売り上げは全部メジャーのレコード会社にとられて、音楽の収入はまだまだ赤字。ライブで稼いだ分で赤字を埋めないといけないわけやから、音楽の活動できちんとした利益っていうのは出てなかった。メジャーから曲を出したからといって、それを成功と言えるわけではないんやなと思い知ったね。

ーー収入にはあまり結びつかなくても、それ以上にメジャーレーベルというものが持つ信頼性というのは大きいものなのですね。

そうやね。でも、メジャーにいる自分にもちょっとずつ疲れてきて。レコード会社と契約すれば、俺らは商品になるわけやから、結局は全部お金の話になってくるし、もちろん人間関係も気つかうしな。それで、自分たち個人のレーベルであるNYCD Recordings を日本レコード協会に登録し終わったくらいの時に、あるきっかけでソニーミュージックから話が来て。最初はソニーとの契約を断って個人のレーベルで曲を出すことに決めてたんやけど、結局もう一回話し合って、結局はソニーと契約することにしたんよ。自分たちのレーベルから出すことになっていた曲も取り下げて、契約し直して、2019年にソニーから「Virus」っていう曲を出した。

その後に「Chink Culture」を出した時は、ソニーから出したということをあまり発信せずに曲をリリースしてみたんよね。そしたら、そのEPで初めて利益が出た。これでかなり自信がついて、2ndアルバムは自分たちのレーベルから出しても良いんじゃないかっていう話にもなったんやけど、自分らのNYCD Recordings とソニーの間にいるエージェントとの折り合いをつけるのが、契約の内容的になかなか難しかった。それで最終的には、より信頼性のあるソニーから出そうということになって、ようやく今回の2ndアルバム「Jap Squad」のリリースが決まった。

ーー「Chink Culture」が利益が出た初めてのEPだった、というのは意外でした。

アルバムを作るって、本当に大変で。曲を作ること自体も大変やけど、さらにそこから曲を売っていくのも大変。曲がリリースされる日には、友達や知り合いにダウンロードしてもらえるように、自分でメールをめっちゃ送る。こういうのは皆やってることやし、隠す必要ないと思うんよね。作品作りまで含めて音楽で食べれてる人って、実際ほとんどいないと思う。というか、作品づくりで稼ぐっていう発想がもう古いよね。音楽配信サービスにみんなが月額で払ってても、俺らに入ってくるのなんて数円だけ。だけど、作品を作るっていうのは時間もお金もかかる。ライブして稼ぐのとは全然違うね。

ーー紆余曲折を経てリリースされた今回の2ndアルバムですが、どのような内容になっているのでしょうか?

今回のアルバムはとにかく制作時間がたっぷりあったから、しっかり仕上げた。コロナウイルスのパンデミックが始まったあたりから11月くらいまでの間に作った曲が多いから、内容としては暗いし、遊び心みたいなものはあまりないな。生きることのつらさとか、その大切さとか、そういう歌詞を公園とか海とかに行って書いてたね。パンデミックになる前は全然そういうところに行くことも無かったんやけどな。こんなダークな曲は、パンデミックにならないと書けなかったと思う。むしろ、もうこんな歌詞は書きたくないと思うくらいやね。

ーーコロナ禍でも前に進み続けた結果、出来上がったアルバムなのですね。

曲が世に出たからといって俺の日常が変わるわけではなくて、たぶんアルバムリリース日も変わらずラーメン屋におるし、ジムにも行くんやけど、パンデミックを経て出来た今回のアルバムはそういう意味では特別やね。

作品づくり以外にも、今はNYでのライブも増えてきたし、アトランタにも毎月ライブに行くことになった。この前はフロリダのオーランドでもライブしたしな。ニューヨークの外に出てみて、自分の小ささも思い知って、また一からやらなあかんなと思った。

作品作りにしてもライブにしても、「やり続ける」っていうのはアーティストとしてすごく大事なこと。当たり前のことなんやけど、その当たり前のことが一番難しい。次のアルバムの制作も進めてて、すでに半分以上できてる。年内には出すつもりでいるよ。

ーー今後の活動も楽しみにしています。ありがとうございました!

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