ハリウッド映画『SEARCHING』鑑賞レビュー。SNSの二面性を考える

こんにちは。暁舟(あかね)です。

みなさん、勉強中についついSNSをチェックしたり、夜中までインターネットサーフィンをしてしまいがちの方はいませんか?

そんなミレニアル(1980~1996年の間に生まれた人々)の皆さんが愛用しているSNSを題材にした映画『search/サーチ』を見てきたので皆さんとあらすじとみどころを紹介します。

キャッチコピーは

「娘を検索するー初めて知る闇。娘が行方不明。唯一の手がかりは24億8千万人のSNSの中にある」

みなさん大体どういう話か予想できますか?「またいい年した大人のSNS批判?」や、「SNSの安全な使い方のすすめ?」と思っている方が多いかもしれません。

しかし、実はこのサスペンス・スリラー。まさかの展開が待っていて、最後まで目が釘付けになってしまう映画なんです。ちょうど、私が大学でとっているメディア学とバーチャルコミュニティーの授業で、SNSをどう捉えるべきかということも習ったので、そこもシェアしながら映画を解説したいと思います。

あらすじ

主人公デービット・キムはカリフォルニア州に住む韓国系アメリカ人のお父さん。癌で妻のパメラを亡くしてしまうも、16歳の娘、マーゴットと仲良く暮らしていた。

デービットは仕事が忙しく、高校生のマーゴットも大学進学にむけて勉強と、母から教わったピアノの練習を続けるため、奔走する日々を送っていた。お互い顔を合わせる時間が無い日もあるが、二人はケータイでお互いの近況をチェックするいわゆる良好な関係。しかし、ある日マーゴットは行方不明になってしまう。

焦ったデービットは娘の行方を調べるため、彼女のSNSにログインをし、独自で調査をし始める。だが、そのリサーチでデービットは明るくていい子なマーゴットの裏の一面を知ってしまうことに・・・。

みどころ

リアリティのあるプロット

この映画の独特なところは、デービットが娘を探す大部分のプロセスが、彼の自宅の普通のパソコンの画面上で展開する点。Google, Messenge, , FaceTime, Tumbler, Instagram, Facebook, Reminder, Calendar, Google map, Venmo, Reddit など私たちが毎日使うアプリケーションの登場で、より現実味が増して緊張感が増す映画です。

マーゴットは普通のお年頃の高校生。大好きな母を失った悲しみは大きく、仕事が忙しい父親に替わって、SNSで悩みを聞いてくれる人を求めていたはず。SNSは誰でも簡単にアクセスができ、自分の思い通りにアカウントを操り表現が出来る場。しかし、一歩行き過ぎると、深い罠にはまってしまうのです。学業に対するプレッシャーと母の死はマーゴットの大きな不安につながっていきます。

SNSの闇に迫る

この映画では、いかに他人のアカウントに入ることが簡単なこと、偽アカウントの怖さも証明しています。いつどこで写真をアップしたのか、誰とチャットしてつながりがあるのか、どのような趣味なのか誰でも追跡できます。父デービットは警察の助けは無意味だと気づき、自力でアプリケーションを駆使して、娘の言動と行動をまとめ、どこにいるのか突き止めようとします。デービットのパソコンのテクニックは、さすがシリコンバレーに住んでいるだけに高く、「こういう手もあるのか!」と参考になるアプリケーションの使い方でした。

臨場感たっぷりの映像

サスペンス・スリラーともあって、映像とサウンドにはこだわりを感じることができます。監督のアニーシュ・チャガンティは27歳のインド人。彼はリアリティのある作品に仕上げたかったため、私たちが見慣れたパソコンやケータイ画面や、特徴のある着信音を使い SNSの危険さは身近に潜んでいることを伝えようとしていたんだと思います。

ユートピアンの視点からSNSを捉えてみる

この映画をみてまず考えたのが、SNSをどう捉えるのか。SNSは今や私たちの生活とは切っても切れない関係ですよね。SNSをチェックするのは生活習慣の一部になっています。どうやってメディアを捉えるのか、大学で面白い見解を習ったので、みなさんと共に考えてみようと思います。

まず紹介したいのが、ユートピアンの考え方。

ユートピアンの考え方の特徴

  • 媒体は社会を良くする
  • 媒体は人を支配することは出来ない

誰でもお気に入りのメディアを探し、使うことができます。使わないのは、個人の自由です。そして、メディアを使うことによって、人々は多くの情報を手に入れ、それらを学業や遠く離れている人との連絡、安否の確認にも使うことができます。ユートピアンはメディアに対しポジティブな考え方をしています。

映画では、メディアが大活躍をしましたが、皆さんも実感があるはず。以前は色々面倒だったことが、インターネットの普及で便利になり、友達や家族との連絡や、買い物の支払い、オンラインの授業など何でもボタン一つで操作できる時代になりましたよね。最近ではSNSによって情報が素速く伝わり、誰でも自己アピールや自分の空間をウェブ上で作れることができるようになり、楽しみも増えました。きっと、ミレニアル世代はこのユートピアンの考えに賛成するはずです。

ディストピアンの視点からSNSを捉えてみる

次は反対のディストピアンの視点からメディアを捉えてみましょう。

ディストピアンの考え方の特徴

  • メディアは人を傷つける
  • 人はメディアに依存してしまう

ディストピアンは「メディアはあなたを傷つける」というのがベースの考え。人々は、メディアに受け身的で依存してしまうと考えます。しかも、メディアは搾取的で、人々により多くの消費をさせようとします。例えば、広告や有名人の一言によって簡単に人々の考えを統一でき、支配することができてしまうのです。

匿名でコメントしたり、画像をあげていいのもネットの醍醐味。辛辣な意見が飛び交ったり、ぎりぎりな大人ぶった会話をオンラインでしてしまうのはアメリカの高校生も同じ。アートな空間として自己アピールをするのは個人の自由ですが、危険な人々が潜んでいることも事実です。ディストピアンの考えは、メディアが人々に与える危険性を提示してくれています。

おわりに

皆さんはメディアについてどのような考えを持ちますか?この映画はSNSやインターネットの二面性について深く考えさせてくれます。

この映画は決して、SNSやインターネットを否定しようとはしていません。なぜなら、誰もがメディアの権威と便利さを知っているから。これからの時代、ますますテクノロジーは進化します。その勢力はもう誰にも止めることはできません。なので、大事なのは「どうやってメディアと接するか」なのです。

人によって、メディアは違う意味を持ちます。メディアとの接し方は人それぞれ。どうやって駆使するかによって、生活は変わり、人生までもが左右されます。大事なのは、メディアには二面性があること。人を傷つけない、信用しすぎない、現実界のコミュニケーションの補佐として使うことに注意して活用してみましょう。バーチャルコミュニティーの教授曰く、テクノロジーと社会はお互いに影響しあうそうです。テクノロジーのおかげで、日々の暮らしが快適になり、社会の要望により、テクノロジーの技術は進化し続けます。もし、私たちがテクノロジーに支配されるのではなく、支配するという立場で接すれば、きっとメディアと良い関係が築けます。

留学生の皆さんは特にメディアのおかげで、遠くにいる家族や友達と連絡を取ったり、授業のノートをまとめたり、オンラインに頼ることが多いはず。この映画を見て、私ももう少し家族とまめに連絡を取ってみたり、ネットとの関わりを考えてみようと思いました。

娘を探すため、インターネットのみを駆使するという技能派のデービットに心打たれる映画、『search/サーチ』。新発想のこの映画は、ミレニアル世代とその家族に是非みてほしい作品です。

日本での公開は10月26日。皆さん、是非映画館まで足を運んでみてください。

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Akane

何 暁舟(か あかね) 1997年、中国生まれ、千葉県育ちの21歳。身長が高かったので(?)名前でからかわれた事は無かったラッキーな学生生活を18年間、千葉県で過ごす。中高で英語好きの友達と出会ったのと、ハリウッド映画を字幕無しで見たかったのとで、大学はアメリカで学ぶことを決意。ジャーナリストの父の影響でUC Berkeleyでメディア学を勉強中。毎日欠かさないことはスマートニュースでコラムを読むこととブログの拝見。趣味はもちろん映画鑑賞。

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何 暁舟(か あかね) 1997年、中国生まれ、千葉県育ちの21歳。身長が高かったので(?)名前でからかわれた事は無かったラッキーな学生生活を18年間、千葉県で過ごす。中高で英語好きの友達と出会ったのと、ハリウッド映画を字幕無しで見たかったのとで、大学はアメリカで学ぶことを決意。ジャーナリストの父の影響でUC Berkeleyでメディア学を勉強中。毎日欠かさないことはスマートニュースでコラムを読むこととブログの拝見。趣味はもちろん映画鑑賞。